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ビオトープ管理士ってこんな人たち
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file 012 (株)加藤建設 のみなさん (かぶしきがいしゃかとうけんせつ)
【愛知県】

建設業
1級ビオトープ施工管理士/2級ビオトープ計画管理士 2 名
1級ビオトープ施工管理士 4 名
2級ビオトープ計画管理士/2級ビオトープ施工管理士 4 名
2級ビオトープ施工管理士 120 名

建設業界のしくみを変える! 郷土・愛知から全国に向けて…

最後に一つ、個人ではなく企業の例を。先駆的と評価され受賞した自主的な取り組み、そして全社を挙げてのビオトープ管理士の資格取得。「仕事をすると環境が良くなる魅力的な建設業に変えたい│」愛知から全国へ〝在り方〞の提案です。


(株)加藤建設 のみなさん

近自然工法に関する研修のようす。
日々の勉強の積み重ねと「エコミーティング」が
あってこそ、このような技術は活かされているのです。

〝未来づくり〞の建設業自然の保全・再生に貢献する

 今から3年前、名古屋に世界中の国々が集まり、※生物多様性に関する重要な会議が開かれました。そこで採択され地名が冠されることとなった『愛知目標』には、2050年までに自然と共存する社会を実現するという明確なビジョンと、達成すべき具体的な目標が示されています。

 そしてその愛知県は蟹江町に本社を構える(株)加藤建設、加藤社長の言葉にハッとさせられました。「建設業は環境を破壊することが仕事なのではなく、人々が求めるものをつくるのが仕事。豊かな自然環境など、良いものを将来世代に残すことが本当の未来づくり」

 自然へのインパクトがとても大きいため、これまではどちらかというとマイナスイメージが付きまといがちだった建設業。しかし考えてみれば、影響が大きいぶん、その在り方次第で自然の保全や再生に大きく貢献出来るのもまた建設業なのです。


エコミーティングの一幕

エコミーティングの一幕。
破壊ではなく「むしろ自然を守り再生出来るのは建設業」
との想いを胸に。

エコミーティング、そして社を挙げてビオトープ管理士を

 そのような熱い想いで加藤建設が独自に取り組む『エコミーティング』は、社員の一人ひとりがアイデアを出し合い、受注した工事を通じて自然と人とに配慮した活動を行おうというもの。その内容は、発注者に対する環境配慮対策の提案・実施、現場における自主的な動植物調査の実施、その結果をもとにした在来種の保護と外来種の防除、実施項目の掲示やイベントによる市民への啓発活動から成ります。「最終的には、工事したことで自然と人にとってプラスになるような仕事が出来ればと考えています」そのためには当初の設計を変更するよう提案することも。従来からすれば常識破りなことですが、誠意は伝わり、生物の多様性を高める整備を実施することも出来ました。


 ところで、このエコミーティングには専門的な知識、つまり、ビオトープ管理士としての知識が必要不可欠。そう考え、活動を進めるなかで全社的にビオトープ管理士の資格取得を目指すこととなりました。「最終的には全社員の8〜9割を有資格者にすることが目標です。必要とされる知識や考え方を社員が身に付けることで会社としての土台を作り、現場でより多くの環境対策が提案出来るようになれば、生物多様性の保全に貢献出来るのではないかと思います」


社員向けに実施された『ビオトープ管理士特別セミナー』

社員向けに実施された
『ビオトープ管理士特別セミナー』。
取り組みを後押し出来ればと、講師陣にも熱が入ります。

 この春で、日本ビオトープ管理士会に登録している有資格者はなんと130 名に。業務内容が増えてしまうのに、なぜそこまで頑張るのですか? 「将来的というか夢ですが、私たちの活動によって建設業における業務のしくみを変え、建設業が仕事をすると環境が良くなったと言われるような、豊かさの記憶を後世に残せる魅力ある業界にしたいんです」環境技術部の石濵さんはこう言います。しかし、現場で網を手にして生きものの調査をする風景は、まだまだ不思議がられたり驚かれることが多いのだとか。「なぜこのようなことをやっているのか理由を説明すれば、『これからはそういうことが必要だね』と言っていただけるんです」ごく当たり前の光景になる日も、そう遠くはなさそうですね。


愛知環境賞銀賞を受賞

愛知環境賞銀賞を受賞。
副知事からも「これからの建設業界の模範
となる活動である」と評されました。

自然は公共の財産「取り組みをスタンダードに」

 そしてエコミーティングは、これからの建設事業の在り方を示す先駆的なモデルであると評価され、2012年には愛知環境賞銀賞を受賞しました。「こういった取り組みは、自社だけがやっても何にもならないと思っています。 広がっていかないと、世の中は変わりません。 全国に広げて、建設業界のスタンダードにしたいと思っています」

 自然は世代を越えた公共の財産であり、その保全や再生は本来、国や地方自治体が公共事業として取り組むべき重大かつ急務な事柄です。コンクリートでは決して実現することの出来ない自然とともにある美しく強靱な国土づくり・まちづくりがこれからの建設業界の進むべき道であり、『愛知目標』達成の近道なのだと思います。


※ 2010年10月、愛知・名古屋にて生物多様性条約第10回締約国会議(COP10)が開かれ、連日深夜まで議論が重ねられました。この生物多様性条約は、生物多様性の保全と持続可能な利用、利用から生ずる利益の公正で衡平な分配を目的とした、人類の生存基盤の存続と各国の国益に関わる重要なものです。




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